※速ヴォルでリレー小説を書こう!じゃ俺温泉ネタで振る〜と言って書いて送ってきたまっきーに、え〜温泉とか萌えない〜とかいいつつ返した至だがなんだか順調に進むのであった。(笑)全編エロですご注意。そして誰がどこ書いたかは謎。
「じゃあ電気消すぞ」
と言って速水が明かりのスイッチを切ると、宿の部屋特有の大きな窓から外が
よく見えた。ヴォルグは思わずと言うように窓辺に寄って眼下に広がる夜景を見
つめた。
海が見えるこの部屋からは入り江の対岸の灯や夜に渡る船の明かりが闇に浮か
び上がるのが見えた。
「……きれいですネ」
ヴォルグが言うのに速水が「そうだな」と返してヴォルグの後ろから窓に腕を
ついてその景色を眺める。互いの距離が近くなったことに今更ながらヴォルグは
少し慌てたように身じろいだ。
暖かい、とヴォルグは思った。先ほど露天風呂でのぼせるかと思うほど長く入
ってしまって速水に怒られて、しばらく体がぽかぽかしていて、それなのにもう
体はとっくに冷めている。だが。
触れているわけではない。近付いただけなのに、速水の熱を感じる。速水の呼
吸を感じる。
「あ、あそこ」
「へっ?!」
ヴォルグは思わずひっくり返った声をだした。速水は少しだけ驚いて、ゆっく
り窓の下を指差した。
「ほら。昼間観光したとこが見えてる。……なんだよ?何キョドってんだ」
「きょ……????エ?エート…?イマ、なんて言いましたカ?」
慌てたヴォルグは速水の言葉をほとんど理解できずに聞き返した。
「…あー、だからな…昼間行った寺が見えるだろ?」
ヴォルグにはわかりにくかったであろう言葉は省いて速水は改めて説明した。
「…ああ本当ですネ…」
昼間速水と訪れた静かな立たずまいの寺院をヴォルグは思い出した。訪う人が
あまりいないのか人気はなくただひんやりとした空気と葉ずれの音の中で歴史を
刻んだ建物たちが息づいていた。
山の中腹にあったその寺院から帰るとき、かなり急な下りの道を降りる途中で
靴がすべってよろけたヴォルグを速水が腕を掴んで支えてくれた。そしてそのま
ま速水がヴォルグの手を取ったので二人で手をつないで降りたこともヴォルグは
思い出した。
(速水、…………速水に、触れたイ。昼間、みたいに)
ヴォルグは漠然とそんな思いが込み上げた。無意識のうちに速水を見つめる瞳
は、どこか縋るような光があった。
速水はふ、と微かに笑い、そっと手を伸ばす。ヴォルグはまばたきをしてその
手を受け入れた。
速水の手が頬を撫でる。熱が全身に回る。ヴォルグは思わず目を閉じた。
速水の気配が近づいて触れるだけの口づけが落とされる。それだけでヴォルグ
はまた己の熱が2、3度上がったかのような錯覚をおぼえた。ふ、と口づけを解
いて少し離れた速水の吐息が触れる。離れてしまうのが嫌でほとんど反射的にヴ
ォルグは速水の方へと倒れ込むように肌を寄せた。薄い布ごしに速水の熱が伝わ
ってくる。
足りない………とヴォルグは思った。昼間は手をつないだだけでもこれ以上な
いほど満たされていたのに、何故だか今はひどく欲張りになっている自分に気づ
く。もっと速水に触れたい、と心の底からヴォルグは思った。
これはどうしたことだ、と速水は思う。
二人が行為に及ぶきっかけはいつも速水からで、ヴォルグは最初にわずかな抵
抗を見せ、あとは大抵従順になる(速水が早々とそのようにヴォルグを追い込む
ためだが)。性の部分ではどこか幼さが残るヴォルグに、自分から求めてこられ
ることを速水が望まなかったと言えば嘘になる。
だが今はどうだ。これは従順というより。
しがみつかれたまま速水は信じられない答えを出さざるを得ない。
ヴォルグは間違いなくノリノリだ。
速水はゆっくりと、ヴォルグに触れたくて仕方がない自分の聞き分けのない手
をヴォルグの鎖骨に持ってゆき、そこへ指を滑り込ませて浴衣を肩からするりと
落とした。体をなぞられる感覚にヴォルグは吐息を漏らし、身を捩る。
全く抵抗がない。
速水はどんどん心拍数の上がる音を苦々しく自覚しながらヴォルグの顔を覗き
込む。
ヴォルグの瞳は碧く潤み、白磁の頬はピンクに色付いている。わずかに聞こえ
る短い呼吸の合間に、速水、と紅い唇が震えた。
欲情している。自分がほとんど何もしないうちから。
カッ、と体が燃え上がり、恐ろしいまでの狂喜が体を支配する。ヴォルグを力
の限り抱きすくめ、彼が、は、と息を零すのが耳に入ってから、ようやく速水は
自分が一瞬我を忘れたことを知った。
ヴォルグが身動き出来ない程きつく抱き寄せてしまっているのに気づいて速水
は少し落ち着かなくては、とその腕を緩めた。すると自由になったヴォルグの両
腕が速水の背に回されて、互いの肌の距離を埋めるかのように逆にきゅうっと抱
きしめられた。
それは速水の目の前にちょうどヴォルグの裸の首筋が寄せられる体勢でもあっ
た。
これはマズイ、と思う間もなく速水はその白い肌に口づけ吸いあげた。
「……ン……」
ヴォルグから鼻にかかった吐息がもれる。思わず速水がその腰を抱きよせると
、あゥ、と小さく喘いでヴォルグは背中をのけぞらせた。
お互いの腹に触れた熱い塊に、なんだ、二人とももう限界じゃないかといっそ
笑い出したくなった。二人一度に扱いてやろうかと思ったが、まずヴォルグの乱
れた様をこの目に収めないことには気がすまない。自らが達することよりそんな
ことの方を選ぶ自分にはもう慣れた。
判っている。惚れているんだ。
速水はヴォルグの腰を支えながら、左手でもどかしくヴォルグの浴衣をたくし
あげる。ヴォルグは太股に触れる指だけでひどく感じるらしく、切羽詰まった吐
息と共に速水にしがみついた腕の力を強くした。
「……は……っ、やみ……、ここ…デ……?」
窓辺で立ったまま行為に及ぶことにとまどいを拭いきれないのか息を上げなが
らもヴォルグがためらいがちに速水に聞いてくる。だがその声音に抗議する色は
なくおそらく速水が頷けばそのまま素直に身を任せるに違いなかった。
その質問に応える代わりに速水は片方の腕で厚手のカーテンを引いて、その布
地の上から窓ガラスへと寄りかからせるようにヴォルグの身体を押しつけた。
速水のその行動に返事は無くとも明確な意志を感じ取ったヴォルグは、今さら
羞恥が湧いたのか頬をより一層上気させて速水の視線を避けるように目を伏せた
。その瞼に口付けを落としながら速水はさっきからなぞっていたヴォルグの腿を
おもむろにグイと持ち上げた。勢いますます窓辺へ深く寄りかかって浮いたヴォ
ルグの片足を速水はそのまま自分の腰へと絡ませるようにさらに引き上げた。
相当みだらな格好になっている。目を開けたままキスをして、速水はそのまま
ヴォルグ自身に手を伸ばす。
「うぁ」
ヴォルグが全身を丸める。気が変わった。まだ達してもいないのにこれだけ愛
液が出ていれば十分潤滑油になる。一度前でいかせてからと思っていたが、ヴォ
ルグの体の様子と表情を見るにつけ、ひょっとしたら自分が突っ込んだ途端に達
するかもしれない。そんなヴォルグはまだ見たことがない。今の速水はどこまで
もヴォルグの痴態を見たい気分だった。
「……っひゃぅ」
ぬる、と先を指で擦ると、ヴォルグは痙攣してその先をねだるようにわずかに
弛緩した。たっぷりと指に液体を絡ませるだけで、ヴォルグの望む愛撫はしてや
らない。す、と後ろへ指を持って行き、その場所へ触れた途端ヴォルグは粗い呼
吸で固まった。
熱のこもる目で何かを問うようにヴォルグが速水を見上げる。
「………ちから…抜けよ」
速水が耳元へ低く囁くとヴォルグは羞恥でこわばる身体からそれでも言われた
とおり力を抜こうと長く息を吐いた。何度目かのそのヴォルグの呼吸に合わせて
速水はおもむろに指に力を込める。
「ヒゥ…ッ」
ヴォルグがとたんに仰け反るのにも構わず速水は性急に指を進めた。立ったま
まの体勢のためかヴォルグの身体の方からも重力に従うように速水の指を飲み込
んで行く。
「ぅ…っア、ァ…」
苦しげな吐息がヴォルグの口から漏れる。
狭い入り口を広げるように速水の指がうごめいてもう一本の指がそこへそえら
れる。
「……っは、はやみっっ!!」
睦言ではすまされない焦った固い声でヴォルグが首を振った。
「………どうした……?」
さすがに動きを止めた速水が問うと、力の入らない腕でそれでも不安定な体勢
から速水の首筋にすがりついたヴォルグが俯いて小さく呟く。
「……モ……ウだめ……デス……」
「イキそうなのか……?」
今夜はやけに情欲を先走らせているヴォルグの様に速水は特に驚きもせず尋ね
ると微かにヴォルグが頷いたのが見て取れた。
速水はふ、と目を細めるとゆっくり二本目の指でこじあける。途端ちいさく悲
鳴をあげてイヤイヤをするようにヴォルグが首を振ったが、それすらも速水を高
ぶらせるだけの行為だ。
なんて、なんて、可愛いんだろう。
「アッ、アッ、あァっ」
にちゃ、ぬぽ、と限り無く優しい動きで二本の指はヴォルグの中を奥から入口
まで擦り上げる。
「…やぁ、やぁぁ、もぉ…アッアッ」
指が動く度にヴォルグは舌足らずな声ですすり泣き、ぐい、と思いきり指をく
の字に曲げてやると、ヴォルグはビクッ、ビクンと震え、か細い悲鳴を上げて達
した。
「ひぁぁぁあ……ア、うぅ……」
自分の腕の中で、自分のたった二本の指にこれほどまで感じ、前への刺激なし
で達するヴォルグの姿を、感動にも近い感慨で観察する。
めちゃくちゃにしてしまいたい。
理性の糸が切れるとき、それが恋人相手であるならばそれはとてつもない恍惚
だと、熱に浮かされた頭で速水は思った。
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