やってるだけです注意。生身アルエド。
「イく……イく、もうだめ……ぅあっ、っひぁン、」
頬をシーツに擦り付けながら、喉を仰け反らせる。その仕草は一体何なの? ボクの頭の中は真っ赤だ。何も考えられない。…兄さんのことしか。この人をイカせたい。一番いやらしい顔をさせたい。一番いやらしい声を出させたい。
「兄さん……可愛い……よ……ッッ、マジで……たまんない……っ」
「っぅひぁ…やぁン、あぁん、イイ、アル……アルぅっ、アル、アル、イイ……いい、そこっ……ぅあぁぁぁぁあん!!」
「兄、さ、ん……っ!!」
「あーっあーっ…あぁん…も、っもぉ、っだ、め………っっ、くひ、あぁぁぁぁん!!!」
思い切り背を撓らせて、がくがくと揺れながら兄さんは腹に触れそうなほど勃起させたペニスから精液を迸らせた。途端、兄さんの内壁がきゅうきゅうと捩れるように伸縮して、ボクのペニスを痛いくらい締め付けた。こんな気持ちいい時にこんな痛いくらいの刺激を受けてしまうと、頭の中が弾け飛んでしまう。ていうかもう、無意識にそんなことをしてしまう兄さんが愛おしい。愛おしさと感動に溢れて、ボクは兄さんと一緒に天国へ登り詰める。
「うっ、っく、あーっ……」
ボクは兄さんの尻に打ち付けた状態のまま、どくんどくんと兄さんの中に放出する。締め付けられながらの射精というのは、気を失いそうになるくらいの感覚だ。だから兄さんが先に達してくれると、九分九厘の確率でボクも一緒に達する。
お互いに放出後の余韻に浸って、しばらく身体をあわせたままでいる。ボクが息を吐きながら体制を整えようと動くと、銜え込んだままの兄さんの中に更にねじ込むようになってしまって、兄さんは荒い息を途端に愉悦に変えた。
「ぁ、はぁん……っ」
「あ……ごめ…」
兄さんは首を傾げて(その時にシーツの上で掻き混ぜられる金髪が物凄くエロティックだ)、小さくかわいらしい唇を、わざと誘うように突き出して喋る。
「ばか。きもちいい」
「…………っ」
どくんっ、と心臓が爆発しかける。
その、しゃべりは、反則だ。自分の唇がどれだけいやらしいものなのか、ちっとも判っていない(そしていくら説明しても聞かないし理解しない)くせに、あんな風にくちびるを動かしてみせるなんて。ぷるぷるの、ちいさな、濡れ濡れと光る紅い紅い薔薇の花弁。
ボクはほとんど無意識でそのくちびるにくちびるで噛み付いた。はふはふと兄さんの呼吸がダイレクトに鼻梁と頬に当たる。くちびるをあわせたまま囁く。
「どこ? きもちいいいの、ここ?」
ぐい、と掬い上げるように動かすと、兄さんは途端に猫のように目を瞑って嬌声を上げた。その、ちいさなくちを、精一杯開いて。
「あぅんっ、やだ、ソコ……変になりそ……」
有り得ないくらいの痴態に、ボクは異様に燃え上がってしまって、本能のままに身体を動かした。ぐちゅちゅっ、とギリギリまで引き抜いて一気に突き入れる。
「くひっ……ひゃぁぁぁん!!」
身体の向きを変えて、兄さんの内壁を右から上、左と下、時計回りに激しく擦り立てる。
「やっあぁぁぁん、あぁン、あぅん、な、何コレ、……っあーっ、あーっイイ、イイ、アルっアル、アルぅぅっ」
「イイ? っ兄さん……これ、イイの?」
「イイっ、イイよぉ…っ、た、たまんな…い…あっあっ、あひっ、アル、アル、アル、アル」
またはしたなく零れ出している兄さんのペニスを引っ掴んで、ボクは腰の動きと同じくらい激しく扱き出す。
ああ、もう。
たまんないのはこっちの方だ。
「いやっ……やぁぁぁんん!!は、はひっ、あっあっ、イく、イくぅーーーーーっっっ!!!」
兄さんには刺激が強すぎたみたいで、切れ上がった瞼から涙を流してまたボクの手の中に噴水を上げる。
「……うぅ…はひ、はひぃ……あぁん…」
兄さんの射精はいつもすぐには終わらない。喉から細く甘ったるい声を出しながら、びゅる…びゅるびゅる……と音を立ててシーツや胸や腹に飛ばしまくる。ボクが握ったままちょいと向きを調節してやれば、兄さんの顔にまでかかることもある。けれど大体そんなことに気を回してる余裕はいつものことながら無い。目の前の、この、まるではじめから、快楽を享受することのみを追求して創られた最高級の姿を見せつけられるだけで、ボクの脳の回線はばちばちと掻き切られる。
「まだ…出てる…」
「ん…っ、んぅ…あぅ、はぅ…やだ…アル…アル…が…擦ってる…からぁ…」
ボクの手をべとべとにさせながら、やんわり曲げた自分の指を甘噛みして、何かをねだるように上目遣いで見上げる。
そんな目でボクを見て、ボクをどうするつもり? っていうか、どうさせるつもり? ボクは甘く溢れる感情のあまり、頭を掻き毟りたくなった。でも抑えて、歯を噛み締めて尋ねる。
「きもちいい?」
「……ん。オレ…おかしい……変」
「兄さんはもとから感じやすすぎるから」
「アルが…変なことすっからだろ…」
「変なことさせてるのは誰?」
「なに?……オレなの?」
「他に誰がいるのさ」
言いながら強く扱くと、兄さんは声を上げて身を捩った。
「ひゃぅン!!」
「ほら、やらしい」
この仕草が、ほんとに意識してなくてその仕草だったら、兄さんはきっと神か悪魔かのどちらかだ。
「ん…あ…ばかアル…っ、もぉ、離し…」
「いやだ」
「い、いやだって……あっあっ、ばかァ、ばかァ、も、もォっ……ど、どうし…気持ちいい……はぅぅ……」
「どうしようもこうしようもないでしょ……ほら、イッて。イク兄さんの顔が見たい」
「ぅ、ぅぁ、あぅ……っひっ、はふ、はぁ……あぁっ…あぁぁん…」
「すご……何なのもう、そのやらしいカオ……マジで有り得ない……っ」
「あぁんっ、ある、あるぅ、やだやだ……あひっ、ひぃぃぁぁ……っっ、あ、あ、あ、あァーーーーっっっ!!!」
がくがくと体中を痙攣させて、僕の手の中の兄さんはまるで生き物のように跳ねて硬い先っぽからジュースを勢い良く零す。おなじくボクを咥えたままの兄さんの中がまたきつく締まって、ボクはそれだけで射精してしまった。
「う、わ、………っく」
「ぁ、は、……はぁ、はぁ……はぅぅ……」
ボクは上半身を倒して兄さんの両脇に肘から下の手を着いて支えて放出し続ける。ボクの金髪と顎から汗がぽたりと兄さんの頬に落ちる。
「っく……は、ほんと……信じらんない……はぁっ、ったく、動かしてないのに」
「……はふ、はふ……あぅ……アルのも……すげぇ出てる……」
「兄さんには負けるけど。そのうち脱水症状起こさないでね」
最後の一滴まで兄さんに注ぎ込み終えると、ボクはふぅ、と息を吐いてベッド脇のテーブルのストロー付きの水入りデカンタに手を伸ばす。ボクが身体を動かしたせいでまた感じてしまった兄さんが、ふぇ、と目をきゅっと瞑って泣き声を上げた。
ああクソ、かわいいったら。
このかわいさでボクはきっと殺されてしまう。間違いなく死因はこの人だ。
感動しすぎて逆に怒ったみたいな顔になってしまったボクは、乱暴に兄さんの口元にストローを突きつけた。
「んむ」
兄さんは紅く染めた瞼を細めてからそれを咥え、赤ん坊がそうするようにちゅうちゅうと吸い上げる。汗で張り付いた金髪が、兄さんの頬や首元を縁取る。柔らかな絹糸にくるまれてるみたいに。まるで天使だ。前後の淫婦のようなシチュエーションさえなければ。
かわいい。かわいいかわいいかわいいかわいい。
どうにかして。何なのこの人。殺す気かボクを。
ふは、とストローから口を離して、息を整えながら兄さんはこちらを見て眉をひそめた。
「何だオマエ……何、泣いてんだ」
馬鹿みたいに顔を歪めているんだろう、ボクは。
「かわいすぎる……」
「は……?」
「もうダメだ死ぬ……兄さんがかわいすぎて死ぬ……」
兄さんの顔の両脇にまた肘を付いて、兄さんの髪の毛を漉いて、ボクは胸を掻き毟られるような気持ちで呟いた。
「アホかお前……ぁ、く」
「………っ」
すごい。すごいよほんとに兄さんのナカって。
「……ぅ……も、もぉ……な、何なのお前……っは、あはぁっ…!! や、っちょ……」
またも質量を増したらしいボクに、兄さんはボクに顔を両手で挟まれて表情を見つめられたまま、まつげを伏せて、くちびるをわななかせて、痙攣するてのひらでボクの腕を掴んだ。
「たまんない……ほんと」
イキそうだ。何もしてないのに、ここにあなたがいるだけで。
はいタイムリミット。嫌だよ俺この続きヨーロッパで考えんの……!!(大笑)